軟鉄鍛造匠ウェッジ

姫路の職人が手掛けた軟鉄鍛造ウェッジを生産工場から直接入手。いわゆる地クラブだが、ウェッジはやはり姫路ものに尽きる。地クラブにもいろいろあるが、今やそれをウリにして立ちあげる高価過ぎるなクラブが多すぎる中で、こういった職人ものの価格は呆れるほど安い。

安すぎる価格が怪しいけど実際はこんなものなんだろう


その作られ方が精巧である必要のあるゴルフクラブとはいえ、しょせんは鉄のかたまり。職人は一般的には自分の手間賃とか計算するのが上手じゃないので、流通商社が絡まない限り安く売ってしまう。

わずか数千円で完成してしまう匠ウェッジも同じ。倍の価格でもまだ安いとさえ思う。このクラブを手掛ける荒深さんいわく「ウェッジは消耗品なので度々買い替えができる価格にしたい。」とのこと。

実に好感の持てる発想。

驚きのミーリング加工が激スピンの秘密


スピンの秘密ミーリング加工

ところで今回入手に至ったのは仕事関係のご縁から。「是非一度試してみて欲しい。」と自信満々にお譲り頂いた。素人モニターというわけだが「嘘は言わないで」とのことなので、ありのままを記載する。

手にしてみてまず驚いたのはフェースのミーリング加工。こんなに鋭利で細かいミーリングは初めて見た。半端じゃないスピン性能がこれだけでも予感できる。手触りはまるで猫の舌のような感じ。

また、職人が削りあげた美しいソールにもほれぼれ。この抜けの良いソール研磨との組み合わせで激スピンが生まれるというわけだ。

ミーリング加工する目的は他にもある。鍛造で造り上げたフェース面を限りなく平らにするために削り上げるらしい。ここが最も難しい工程らしくここが量産品と異なる点。どれだけ平らであるか?にこだわるからスピンも距離感も生まれやすいということ。

ソケット色は金ラメのド派手仕様


金ラメ仕様のソケット部

ソケット色はいろいろあって選べないとのこと。私に届いたのは金ラメのド派手なタイプだった。最初、「これは趣味が悪いなぁ〜」と苦笑いだったが、構えてみるとあら不思議。

通常の黒色とは違って、まったく目に残らない。要はフェース面に意識が集中できるというか、集中力が自然に増す感じを覚えた。ここは狙いではないだろうけど、意外な効果に嬉しくなった。

丸みのあるフェース形状が構えやすくしっかり振れる


美しいフェース形状

ロフト角はリアル56度でバウンスは11度。。長さは35インチでシャフトはNS950GHのSをチョイス。誤差のある量産メーカーのロフト角よりも寝た感じになるので、購入時はそこを注意すると良い。

これで工場直売価格が標準シャフトなら1万円しない(記事投稿時点)。シャフトの選択によっては追加料金が発生するが高くても1万円前後はまずない。あまりに儲けがないため近々にも少しだけ値上げ予定だとか。お早めに。

手にした最初の練習でまず30Yくらいを想定して打ってみたが、さすが軟鉄鍛造。心地良過ぎるソフトな打感が癖になりそう。次にフルショット。当たり前だけど更に抜けが抜群で感触が良い。

バウンスはしっかりあるがダブルカットソールで抜群に抜けが良い


バウンスイメージ

自分の場合、バウンスが11度もあるとフェアウェイから使うのが怖い気がしてしまうけど、ダブルソールの削り上げがそれを相殺。

スクエアに構えた際のエッジにシャープさもあって心強い。またトゥトップのグルーブ面積が大きいので、バンカーで開いた時も安心感があってしっかり打ち込める。やはりこういった深いグルーブの方が私のような気の小さいゴルファーには確実にやさしいと感じた。

フェース面を大きく見せてくれるのでやさしく感じ、リアルロフト56度は大手量産メーカーの58度くらいに見えて実際にも上げやすい。

実際のコースでの使用感


軟鉄匠ウェッジ

すでに2回コースで使用。これにしてからフェアウェイからのアプローチにしてもバンカーにしてもしっかり打ち込めるようになった。語弊があるが必要以上にスピンがかかってしまうので、しっかり突っ込まないと概ねショートしてしまうので、しっかり打ちたいウェッジだ。

最後に、このクラブは「打つ」という意識じゃなく、「落とす」というイメージが自分には合う。これは「楽になった」とも言える。これは神経を使う場面で使うことになるウェッジには欠かせないポイント。

しかしこの軟鉄ウェッジ。54、56、58度しかないのが残念。

(2014年11月修正)
2014年11月に48度、50度、52度が追加発売された。

東邦ゴルフ「匠」軟鉄鍛造ウェッジ・工場直販サイトはこちら
東邦ゴルフ「匠」軟鉄鍛造ウェッジ・工場直販サイトはこちら


(関連リンク)姫路発・職人と匠の技