がんばらないから上手くなった

独自のスイング理論でトップアマからシニアプロに転身して、歴戦のプロと互角に渡り合う田村尚之プロのレッスン&トークショーに行った。主戦場は変わってもまだ会社員を続けるがんばらないゴルフの中身とは。

自分のゴルフに取り入れるか?合うか?はまた別の問題として、理数系で独自のスイング理論を持つ人の話はいつも面白い。

出版本の受賞記念イベントだったが、ちょうどキャンセルが出たというのを聞いて、無理言って割り込ませてもらった。

ゴルフダイジェスト社

新橋と東京タワーのちょうど中間にあるゴルフダイジェスト社に来たのは広告代理店勤務していた30代の時ぶり。なつかしい。

彼の理論の詳細は、今回の受賞本にすべて掲載されているので、ここではトークショーで興味深かった内容を抜粋。

田村尚之プロのレッスン



いらない情報は捨てる!が上達の近道


ジュニア時代から、既存のスイングセオリーを疑問視していたという田村プロ。初心者時代は、誰でもその特異さに疑問を持つものだけど、彼の場合は数学的にそれが正しいかを考えたという。


例えば左右非対称のアドレス


グリップする際に、両方の手を拝むように合わせるとそこに二等辺三角形ができて、それなら直角に横に打つのは簡単。

だけど、ゴルフのグリップは右手が下にくる。


これがゴルフを難しくしている。


が彼の理論であり、ハンドレイト的に右足寄りにグリップする彼のアドレスが誕生した理由であるという。


別の発想として、左手を曲げて打つという方法もあるという。日本の藤本佳則、リー・ウエストウッドらがそうであり、最近台頭した選手ではジョーダン・スピースが代表格。




クラブの進化が自分のスイングに近づいてきた


田村尚之レッスントークショー

独学でゴルフを覚えた田村プロ。ジュニア時代に考えたもう1つのスイング理論は、クラブヘッドを開閉させないで直線的に打つ方法。

彼がゴルフを始めたのは、まだパーシモンクラブだった時代。

スイングすれば勝手に開閉してしまうというクラブだった時代に、そのボールが曲がりやすくなるスイング理論を捨ててしまったわけだ。


そして、クラブの開閉が不要な時代に突入!


計らずもクラブの進化が、自分のスイングに寄ってきた。

周囲が苦労してスイング改造に着手する中、どんどん優位に立ち始めたという。シニアプロへの挑戦もこれが理由。

クラブを開閉させないというスイングでは、百戦錬磨のシニアプロ達の中にあっても一日の長があり、戦える余地があると・・・。

彼の独特なスイングも、クラブを開閉させない直線運動と知って観察すると、なるほど理にかなっていることが分かる。



正しいアドレスで練習しないと時間の無駄


プロアマの場で、ワンポイントレッスンを求められた際、「レッスンプロではないので」と前置きし、アドレスだけアドバイスするという。


左右非対称のグリップから起きる誤りを正す。


右手が下にあるのに真っ直ぐ構えようとすると、人はどうしてもスタンスよりも右方向を向くか、右肩が下がってしまう。

これがスライスやチーピンの原因。

これを正してあげたり、場合によっては持論のアドレスを試してもらうこともあるという。事業の成功者(大会社の社長など)ほど、意外に素直に取り入れてくれるらしい。しかい案外ここは意外じゃないと思う。

何においても、成功者は学ぶのが上手なのだ。



「がんばらない」がキーワード


田村プロというと、「がんばらない」がキーワード。著書もこのワードがたくさん出てくるが、要は「要らない情報を捨ててシンプルに」ということであり、練習するな、考えるなと言ってるわけではない。

ドライバーからパターまで直線的に狙うのが彼のゴルフ。

曲げた方がコースを広く使えたり、嫌な方向を消せるという理屈も、彼に言わせれば「逃げている」だけであり、果敢に攻めろというよりは、怖さを知らないアマチュアなんだから、もっとシンプルにという考え。

私を含めた多くのアマチュアは、プロのように格好良くゴルフを考え、そしてプレーしてみたい、またはそれを楽しんでいるのであって、本当の意味のスコアアップまでは考えていないように感じさせられた。

取り入れるかどうかは別として、自分のゴルフはどうすべきか?と考えさせられた1日だった。


がんばらないから上手くなった。 (ゴルフダイジェスト新書)

新品価格
¥918から
(2016/5/29 09:00時点)